【第2回目】学校では教えてくれない21世紀での生き方 ~私のキャリアはこうして築かれた~

【第2回目】学校では教えてくれない21世紀での生き方 ~私のキャリアはこうして築かれた~

「学校では教えてくれない21世紀での生き方」第2回目は、ダイドードリンコ株式会社 人事部 シニアマネージャーの石原 健一朗 様にご登壇いただき、【私のキャリアはこうして築かれた】というテーマでお話いただきました。

多様化している働き方と、変化の激しい時代の中で、個々人のキャリア開発と形成が重要とされている近年。
自分らしいキャリアの構築に悩まれている方に必見です!

人生方程式

京セラ株式会社に新卒で入社し、人材開発や組織開発などに従事されてきた石原さんは、現在ダイドードリンコ株式会社で採用や人事企画まで幅広く活躍されています。
そもそもなぜ、石原さんはファーストキャリアとして京セラ株式会社を選ばれたのでしょうか。

「平成の経営の神様」と呼ばれている京セラ株式会社の創業者、稲盛和夫さんの考え方に共感し、他の内定先を断った上で選考に参加されたそうです!
特に共感されたのがこちらの「人生方程式」。

これは、掛け算によって人生と仕事の結果が決まるという方程式です。

人生・仕事の結果 = 考え方(-100~100) x 熱意(100~0) x 能力(100~0)

人生や仕事の結果は、考え方と熱意と能力の3つの要素の掛け算で決まる。
また、この中で最も重要な要素が、唯一マイナスにもなり得る「考え方」。
どんなに熱意や能力があったとしても、「考え方」がマイナスになると人生や仕事の結果はマイナスになってしまいます。

キャリアについて

今回のテーマである、「キャリア」。
初めに、「キャリア」とは何なのでしょうか。

一般的に、キャリアは「経歴」「経験」「発展」さらには「関連した職務の連鎖」などと表現され、時間的持続性ないしは継続性を持った概念とされています。※1

しかし、より本質的なところを捉えると、キャリアとは「環境との相互作用によって、生涯を通じて個人が構築し、個人により意味づけされたもの」※2なのです。
例えば、同じような仕事をしていても、人によってはその仕事内容を「意義深い」、もしくは「つまらない」と感じる人もいるでしょう。つまり、個人によって、その仕事に対する「意味付け」が異なり、その「意味付け」がキャリアを創ります。では、この「意味付け」についてもう少し深ぼってみましょう。

ミッション

各企業には、ミッションやビジョンを掲げています。

まず、「ミッション(使命)」とはなんなのか。これは、「実現すべき価値」、つまり、「誰に、どのような貢献をするために存在しているのか」を意味します。

実現すべき価値は、下記の3つに分けられます。

自分の仕事は、誰に対して貢献しようとしているのか。何を提供し、どういった方針で貢献していきたいのかを再定義することにより、仕事に対する意味付けが変わってきます。その意味付けが良いものになれば、良いキャリアを築けるようになります。

つまり、キャリアは「仕事の連鎖」を意味するだけでなく、「意味付けの連鎖」も意味します。

ビジョン

さて、ここで皆様に質問です。「世界一の並木道」と聞くと、どんな並木道をイメージされますか?

あたり一面を桜色に染める春の並木道でしょうか。
落ち葉で黄色い絨毯が敷かれた秋のイチョウの並木道でしょうか。
世界一長い杉並木と言われている、日光の並木道でしょうか。

このように、皆様が描く世界一の並木道はバラバラだと思います。

企業が掲げている「ビジョン」も同じです。みんながバラバラの未来像を描いていると、何も成し遂げることができません。

会社が掲げているビジョンの内容を覚えておくことも重要ですが、そのビジョンに至った経緯や、どんな未来像を描いているのかを経営者や社員の方々との対話を通して、自身の中でも同じものを描くことが大事です。

挫折

人は社会に新しい価値を生み出すだめ、そして他人との信頼関係を築くためには、「志」を立てることが重要です。そしてこの志を立てるには、色んな可能性にチャレンジや経験をし、「自分の限界を知った上で、自分ができることを追い求めていく」ことが大事です。

では、この「限界」とはどういうときに知ることができるのでしょうか。

それは、「挫折」です。

挫折はネガティブに捉えられがちですが、実は単なる失敗ではありません。何かに一生懸命取り組んだ結果、方向性や価値観、やり方などの壁にぶち当たったとき、限界状況、つまり挫折を経験します。色んなチャレンジをし、挫折を経験した上で、自分はこれができる!と感じたものを追い求めて行けたらと思います。

信頼関係を維持するために

次に、色んなチャレンジをした上で志を立て、人との関係を持ち始めた際に、その信頼関係を維持するための大事な考え方についてお話いただきました。

「自分に嘘をつかず正直に生き、目的のための手段やルールなどの本質を守り、自分が言ったことはやる。」これを貫いていたようです。

チャレンジとは

最後に、「チャレンジ」についてお話いただきました。さて、ここでまたクイズです。
最後の一文に、なにが当てはまると思いますか。

正解は、「そのカエルは耳が聞こえなかったのだ」です!

すごいことをチャレンジするとき、組織が「止めておいたほうがいいよ」など言われることってありますよね。
そのようなノイズやドリームキラーを近くに置くのではなく、自身の挑戦を応援してくれる人を側に置く大事さを教えてくれています。

質疑応答

Q:稲盛さんに共感して入社された京セラ株式会社から、ダイドードリンコ株式会社に転職されたきっかけはなんだったのでしょうか。

A:一つ目は、京セラでは専門性を深めることができたが、より人事領域の幅を広げたかったからです。二つ目は、京セラにないものを持つ会社に興味がありました。京セラほど稲盛和夫さんのような創業者の思想が強すぎず、オーナー企業で、人事領域全般を任せてくれる会社に興味がありました。

Q:石原さんの志はいつ立ちましたか?

A:新入社員として入社し、「入社前と入社後に感じたギャップを、教育という観点で変革しよう」と、一ヶ月で志を立てました。

Q:石原さんの挫折経験を教えていただきたいです。その時、限界にいたるまで本気で、コトに向かえたのは何故ですか?

A:入社してからは挫折の日々でした。一人で志を立て、一人でやり切ろうと思っていましたが、限界を迎え、「一人で頑張る」という価値観を変えました。プライドを捨て、周りにお願いするようにしたら、すんなりと上手くいくようになりましたね。

学生時代に、「私が変われば、人は変わる」という経験をしました。人に働きかければ、その人が変わり、その人が変われば、集団が変わる。人を通じていけば、きっと組織や会社も変わると信じて、働きかけることができました。

Q:自己分析をしているのですが、挫折と呼べる経験が見当たりません。挫折経験はどのように見つけたら良いのでしょうか。

A:これから絶対経験すると思います。就職活動で振り返る際には、今までの人生の中で、どういった教訓があったかを深めていけばいいと思います。先程の例で言うと、「一人では成し遂げられない」という教訓がありました。こういった大事にしたい教訓を辿っていけばいいと思います。

Q:考え方がマイナスの掛け算が勉強になりました。
自分の考え方がマイナスかどうか知るにはどうしたら良いのでしょうか?また、プラスになるための秘訣はありますか?

A:人に対する恨みや妬みを持った上で物事を成していたり、自分ごとにしないまま、世の中に対して不平や不満を持ったりするとマイナスになります。人に対して妬みなど持たず、ご自身で動きかけながら自分自身のいい状態を探るようになるといいと思います。プラスになるためには、他人や色んなことに対して感謝の気持ちを持つことですね。

最後に

最後に、石原さんから皆様へのメッセージをいただきました。

「これから就職活動をする上で、会社の規模感、職種、業種などで悩まれると思いますが、人生100年時代の中で、色んなキャリアの積み方があると思います。ただ、「安定」というものはないです。目的なしに企業選びをし、安定を求めて入社するのではなく、その企業で何を得たいのかや、それを踏まえて次のキャリアをどういうステップにするのか、という目的を定めると、自分のためにいい人生を切り開くことができます。」

いかがでしたでしょうか。これから働き始める学生だけでなく、既に働かれている社会人にとっても、今後のキャリアを考える上でとても刺激的で勉強になる内容でした。

次回は、ZENKIGENから、新規事業開発者の石丸にご登壇いただきます。
AIやロボット、ビッグデータなど、凄まじい速さで進化するテクノロジーがある現代で、企業の行動原理がどう変化していくのか。そしてテクノロジーと共存し、どんな社会を作っていきたいかをお話いただきます。

※1(引用)平成14年7月、厚生労働省「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書
※2 「キャリアの定義」日本キャリア開発協会

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