【第3回目】学校では教えてくれない21世紀での生き方~AIを使う人、AIに使われる人~

【第3回目】学校では教えてくれない21世紀での生き方~AIを使う人、AIに使われる人~

「学校では教えてくれない21世紀での生き方」第3回目は、ZENKIGENで事業戦略/新規事業に携わる石丸が登壇し、
【AIを使う人、AIに使われる人】というテーマでお話ししました。

今、私たちは時代の転換点に立っています。過去の上手くいったパターンで物事に取り組んでも、上手くいかない状況です。
そんな中、どうやって自分たちの人生をより良いものにしていけるのかについて石丸が語りました。

セミナーは、 ①今を知る ②流れをつかむ ③自分を考える の流れで進みました。

①今を知る

時代は転換点=パラダイムシフトにあります。
これはすなわち、「常識が変わる」ということです。

今まで「こうやれば良かった」ということが本当に良いのか分からなくなってきている中で、
ゼロから常識を生み出して、何を選ぶことが正しいのかを試行錯誤で自ら作っていく段階に入っています。

常識が変わる時代であることは、私たちの生活の中でよく耳にする言葉や書籍、映画からも読み取れます。

下記はいくつか石丸がセミナー内で紹介した書籍・映画です。

① 北極南極の雪溶けによる海抜上昇や、集中豪雨などの気候変動の問題などを取り上げている書籍や映画。

地球に住めなくなる日: 「気候崩壊」の避けられない真実

不都合な真実2 放置された地球

②格差や分断がうまれ、不遇な人が増えていることをリアルに感じる映画。

ジョーカー

③人が定住する必要がなくなった今、個人の尊厳や新しいライスタイルが見受けられる映画。

ノマドランド

④テクノロジーやAIの進化によって、見放される人が大量に出てくることへの警鐘を鳴らす書籍。

21Lessons:21世紀の人類のための21の思考

⑤資本主義によって労働力が安く扱われ、グローバル化した社会の異常性を取り上げた書籍。

絶望死のアメリカ

⑥機械のようにしか動けない人たちが組織に溢れた時、人間の尊厳はどう扱われるか、を考えさせられる映画。

わたしは、ダニエル・ブレイク

⑦AIでできた友達をどこまで人間として扱うのかや、クローン人間など、テクノロジーと生命倫理に関する書籍。

クララとお日さま

わたしを離さないで

これらは全て社会の事実ではないかもしれませんが、リアリティがあるからこそ人々が共感を持ち、ヒットしています。
今までの常識の中では「そんなことあるの!?」と思っていたことも、リアルに感じるようになってきました。

うまくいくパターンにのっとる従来のやり方は通用しません。そこで、これからは学習が大切な時代に入ってきています。

パラダイムシフトにある中で、学習することが大切、とはどういうことでしょうか。
図解を用いて、説明します。

<感覚>
まず、あらゆる人間に感覚があります。
例えば、この記事を読んでいても「いやだな」「なるほど」など、感じていることが誰しもあるはずです。
<認識>
感覚の次に、物事を認識し理解すると、「こう進めよう」と計画立てられるようになっていきます。
<意識>
意識はもう少し先の領域までカバーできます。
例えば、小説。想像することによって先のことや誰かが考えたことがないことにも、自分を主体的に表現できます。
<未知>
パラダイムが変わる時、この未知の領域で多くの出来事が起こっています。
この領域で起こっていることは自分の外側で起こっているため、自分で意識下に取り入れていく必要があります。
そこで、そこで未知の領域で何かが起こっているという現実を受け止め、一歩踏み込んで物事を知ろうとする学習が大切なのです。

磨かれていない個性だけに依存しない
今、多くの人が未知を重視せずに自分の感覚を重視してしまっています。
大前提、自分の感じ方を大切にすることは、必要なこと。
しかし、「自分はこう感じている」という感覚だけに閉じてしまっていると、世の中の動きに疎くなってしまいます。
むしろ、世の中は自分の知らないところで動いているという現実に向き合って、個性は大事だけどそこだけに依存せず世の中をみる・知ろうとすることを大切にして欲しいです。

②流れを掴む

ここまで、私たちが時代の転換点にいるということを確認してきました。
ここからは、実際に起きている転換の動向を、企業原理の変化を中心に見ていきます。

これからの企業の行動原理は変化します。

20世紀企業の行動原理は、エコノミーでした。
すなわち儲けるかどうかという経済性単一の原理です。
モノがない時代に、モノをどんどん作り、どんどん供給することで社会はより豊かになりました。

21世紀はテクノロジーが凄まじい勢いで発展しています。
世界中の巨額のお金がAIを含む新たな技術に投資されています。
AIに関していうと、2045年には「シンギュラリティ」(※1)、すなわちAIが人間の能力を超えるんじゃないかと言われていたりします。
このようなテクノロジーの飛躍的な進化を無視して今の経営は考えられないです。
また、テクノロジーが世の中を大きく変えていくということは日常的に実感されていると思います。

さらに、これからの企業の行動原理に欠かせないものが、ソーシャルです。
生み出して供給するという経済合理性だけでは、地球・コミュニティ・人などいろいろなものが壊れてしまうことがわかってきているんです。
こうして企業は、社会性を担保することを避けられない状況になっています。

21世紀の企業は、この3つを統合して考えないといけないっていうことがこれから大前提になってきます。

また、企業という組織をハード面・ソフト面からみる考え方もあります。
これまで重要だったのがハード面です。目的があり、そのために必要な機能があり、機能を働かせる人材がいる。
ここでは、企業が主体となるため、個人は受け身に動かないといけない仕組みになっています。

一方で、これから重要とされるのはソフト面です。組織にいる人と人は、組織とは関係なく繋がっています。
例えば、ゴルフやカラオケなどの趣味が一緒でよく付き合いがあるといったものです。
ここでは、人と人との感情の共有や信頼関係が構築され、組織内でも思いやりや助け合いが起こります。
この繋がりがある中で生まれた仕事というのは、基本的にそれぞれの意思をベースにしていて、自発的に働いているわけです。

これからの変化が激しい時代には、柔軟さが必要であり、そのためには自発的に動く個人を増やしていくソフト面が重要となってくるのです。

ここまで企業の原理の変化を見てきました。ではその変化を受けて、私たち個人はどう生きていけばいいのでしょうか。

(1)自律した個人になる

経済合理性だけでよかった20世紀の型化された世界で重要視されていたハード面からソフト面へ移行しています。
経済性単一の原理に埋没してしまった組織人から自律した個人になることが求められているのです。

今は、企業の寿命より個人が働く期間の方が長くなってきています。
これまでの大企業1社で勤め上げればいい時代は終わり、おのずと2社3社に渡って働くことになるため、自分で働き方をコントロールしていくことが重要です。

では、1社に勤め上げることの何が問題なのか。組織は分業と協力で動いています。
長期的に1社で働き、同じことをやり続けると、その場所の常識しか知らないまま、視野が狭くなっていってしまいます。
これを、人材の塩漬け問題と呼んでいます。

いわゆる、その企業のシステムにおける役割を果たす以外の能力が全然発達しなかった人のことです。
会社の中にいるから安心だと思っているような場合、会社という基盤がなくなった時に非常に苦労することになります。

ひとつの会社でとことんやり続けることを否定しているわけではなく、変化を前提とする時代に、
一人一人が自分らしく生きるための選択肢を持っておける自律した個人であるべきだと思っています。

では、自律した個人であるために、これから価値のあることは何なのでしょうか。

今までは安定して10の力を出し続けるリソース・マネジメント(図:左下の四角)だけが個人にも組織にも求められていました。
そこから、クリエイティブ・マネジメント(図:右上の四角)のような信頼し合える仲間とのチームワークが新たな需要へ価値を生み出すことが求められ、評価されるようになります。

このように、人と人とのつながりから自発的に動き、何かを生み出していくことが求められるシーンがどんどん増えてきます。

そこで如実な差になってくるのが、周囲との信頼関係です。

就職や転職の選択肢が広がる一方で、
選んだ後は、与えられた機会と環境で、役に立ち、求められる人になっていく他ありません。

信頼が積み重なれば、転職や起業をした後もきっと助けになってくれます。
どんな機会や環境であれ、そこで一生懸命やった仕事をちゃんと見てくれる人達がいるわけで、
自分の選べる機会も広がっていく循環が生まれるのです。

(2)テクノロジーが進む社会で、人間中心のルールをつくっていく

テクノロジーが進化すると、世の中が一気に変わります。
例えば、モビリティ産業でガソリンエンジンが電気に変わろうとしてます。
電気で自動車が動くとなると、これまでの自動車メーカーではなく、新しいモーターを作れる会社が電気自動車産業のナンバーワンになる可能性だってあります。

AIも注目され、指数関数的に成長していくと言われています。ここで私たちがやるべきことは、効率化ではないと思います。
新たなテクノロジーが社会や経済に根ざしていく中で、人間を中心とするいい社会を作るためのルールを作っていくことが大切です。
進化するテクノロジーを使い、私たちはどんな社会にしたいか、を必死に学び考えなければいけません。
これは、一部の政治家や事業家、専門家だけのテーマではなく、これからの時代を生きる全ての人にとっての身近なテーマだと思います。

ここまでパラダイムシフトを始めとして社会の話をしてきました。

③自分を考える

変化を遂げる時代のなかで、自分が進化し、変容し続けることがすごく重要です。

そのためには、自分自身がずっとやりがいを持って働かなくてはいけません。
ここで、こじんまりと即戦力になることだけを気にするのではなく、自分の可能性をちゃんと育ててあげる必要があります。
そのためには、「遊び⇆学び⇆働き」を真剣にやらないといけません。

その時、大切にしてほしいと思っているのがキャリアの3本柱です。

経済資本・社会関係資本・文化資本の3つがあります。
この中で、目に見えにくく、どうしても後回しにされるのが、社会関係資本(信頼形成)と文化資本(腕磨き)です。
ただ、この部分をいかに誠実に積み上げていけるかということが、かなり大事だと感じています。
人生100年と言われるこれからの長い長いキャリアを積んでいく上で、この3つの柱の視点を意識して考えてみて欲しいです。

質疑応答

Q:就活中ですが、キャリアについてはあまり想像できていません。
今の段階でキャリアを考え、2社目のことも見越して就職先を選ぶべきなのでしょうか?

現段階で、貢献していく業界や、生かしていく能力の軸が定まっているのであれば2社目も考えていいとは思います。
ただ、今あまりキャリアが想像できない状態なら、まずは1社目に自分がしっくりくる会社を探した方がいいと思います。
1社目の時間が有意義であれば、2社目以降は自ずと見えてくると思います。

Q:石丸さんが今大学生(就活生)ならどんなことをされますか?

もしかしたら、自分が学生だったときと同じように過ごすかもしれないですね。
というのも、大学で制作活動したり、アルバイトを通して地域の人たちとずっと豊かで良い時間を過ごしていたんですよね。
なので、今でもピンチの時には必ず助けてくれると信じられる仲間がたくさんいるんです。
どんなことをするか、は今目の前にいる人たちを大切にしながら、良い時間を過ごすためにどうしようかなって考えると一番いいのかなと思っています。

Q:AIを使う人とAIに使われる人、その差を決める決定的なものは何だと考えられているか、教えて頂きたいです!

その仕事に、意志があるかないかですね。
少なくともシンギュラリティが起こっていない今は、「世の中こういう風になるともっと良くならないかな」っていうことを、自分の意志としてやりたいって思える人は、AIを手段としてきちんと扱えると思います。

最後に

いかがでしたでしょうか。未来が不確実な中で、これからの企業や社会を見据え行動に移していくことは簡単ではありません。
しかしながら、石丸が学習の大切さを説いたように自分の見えている世界の外の世界を意識的に探索しにいくなどまずは一つの行動から始めてみることが重要だと感じました。

今回の登壇者である石丸は、AIを作っている立場として、AIを使いこなして良い時代を作っていく上で大事なことを伝えるべく書籍を出版しています。
今回のセミナーも書籍に含まれているものがありますので、ご興味ある方はぜひご一読ください。

テクノロジー共存時代の新バイブル AIを使う人事 AIに使われる人事

※1 『シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき』エッセンス版 著:レイ・カーツワイル

一緒にZINZIENを
盛り上げませんか?

お問い合わせはこちら