Mustを積み重ねることで、Canが広がり、Willが育つ

Mustを積み重ねることで、Canが広がり、Willが育つ

十人十色なZINZIENメンバーの経験・価値観を紐解くインタビュー企画 第3弾!

今回インタビューをさせていただいたのは、
パナソニック株式会社タレントエクスペリエンスデザイナーの石黒正大さん。

石黒正大さんは、2008年、新卒で松下電器産業(現パナソニック)に入社。オートモーティブ事業部門にて事業部や工場などの人事担当として7年間従事した後、全社採用部門にて新卒採用業務に従事し、現在は、新卒採用戦略・戦術企画/スタートアップ協業推進などを担当されています。

ー新卒入社後、人事一筋14年!どういった経緯があって、今の会社や人事という職を選ばれたのですか。

人に関わることに元々興味があったことと、パナソニックの創業者である松下幸之助が残した「ものをつくる前に、人をつくる」という経営理念に惹かれたからです。

私は大学卒業まで野球一筋の人間でした。小さい頃から「プロ野球選手になりたい」と本気で野球に打ち込んでいました。それだけ長く野球をしていると、幾度となく挫折も経験しましたし、野球を辞めたいと思う時期もありました。どんなに好きで続けていることであっても、例えば、コーチに認めてもらえなかったり、チームメンバーとの関係が上手くいっていないときには、パフォーマンスが発揮できなかったりすることもあり、組織に属する人間との関係性の良し悪しが、プレイの質やプレイヤーのモチベーションのアップダウンに強く影響することを痛感しました。

そのような経験から、組織における人の関係性をより良いものとすることを目指すことで、結果的にその組織がより強くなること、また、目の前で起きている事象に対して、本人の見え方や捉え方によって、同じ事象に対してもポジティブにもネガティブにも見えることにも気づきました。一人ひとりがその能力を最大限に発揮すること、あるいは一人ひとりがやりがいや生きがいを持てるような環境にするためには、組織と人の両面からのアプローチによって実現していけるのではないかをいうことにも気づき、人に関わり、その組織をより良くしていくという人事の仕事を面白そうだと感じました。

人事の仕事ができる会社は沢山ありますが、「ものをつくる前に、人をつくる」という想いを約100年間大切に受け継ぐほど人を大切しているパナソニックが特に魅力的に感じ、入社を決めました。

ー入社してすぐ給与福祉の仕事を担当されたということですが、特に記憶に残っているお仕事はありますでしょうか。

正直、人事という職種に対して「採用」というイメージを強く持っていたので、かなりギャップがありました。初めの頃は、仕事になかなか身が入らない時期もあったのですが、入社して1年経つ頃にターニングポイントとなる出来事がありました。

その当時、当社では退職される方を見送る定年式で「感謝状」を贈るという文化がありました。私は、退職者の方々にお渡しする感謝状の作成を担当したのですが、入社してまだ1年目の私がつくった感謝状の文章なんて、そんなにちゃんと読まれないんだろうな、という気持ちが心の隅にありました。しかし、感謝状をお一人おひとりにお渡しすると、涙を流しながら読んでくださいました。その時、退職する社員一人ひとりが、この感謝状を家に持ち帰って、ご家族や大切な人から「ありがとう」「お疲れ様」という言葉を受け取るんだなぁと想像することができました。

言葉にすると当たり前のことですが、職場では一人の社員でありながら、家に帰れば職場とはまた違う役割があり、会社は一人ひとりの人生の一部をお預かりしているんだなと痛感した瞬間でもありました。一人ひとりの社員が、社会人であり、家庭人であり、多様なバックグラウンドをもっていることを強く感じ、そういった一人ひとりの人生や想いに寄り添うことを人事として忘れてはいけないと心に決めた経験でした。

ー大変だったと感じる経験は何でしたか。

長野県にある松本工場で人事をしていたときに、モノづくり人材育成施策として、モノづくりノウハウ継承の体制・仕組み構築への取組みに関するプロジェクトの企画運営は苦労しました。

その当時、松本工場では、車載関連の製品の製造を行っていたのですが、今後の事業発展を支える人事施策や車載のモノづくりノウハウの継承の仕組みが不十分であるという課題があったり、工場勤務者の労務構成においても、ベテランが多く若手が少なかったりという状況でした。今後5年、10年先を見据えた際に、”松本工場”の車載モノづくりにおいて、継承すべきコアとなる技能・技術を整理し、継承するという人材育成体系をつくるという内容でした。

工場現場のベテラン社員さんの経験と勘って本当にすごくて、「今日、何か起こりそうな気がするんだよ〜」って言っていると、本当に何か起こるんです。それっていったいなんなのか?ベテラン社員さんの頭の中に入っている暗黙知やノウハウを言語化・形式化して、育成体系に落とし込むという内容でした。文学部卒の私にとっては、生産技術や工場技術、SCMなど、本当に何もわからない状態からのスタートでしたが、とにかく現場の人と会話をして、教えていただきながら、モノづくりの基礎から知ることから始め、徐々に現場の課題抽出に取り組みました。

取り組みの中で苦労は沢山ありましたが、前例のないことに向かって、どうやったら上手くできるかを考え、試して、上手くいかなかったら「次はこうしましょう」と改善を繰り返す。現場の人たちと一緒に一つのものを作っていくことには面白さとやりがいを感じていました。そうして皆で取り組んで、形になったモノづくり人材育成体系は、「モノづくり道場」という名称で無事に立ち上げることができ、現場の方々にも喜んでいただくことができました。

松本工場を離れて、早8年になりますが、「モノづくり道場」は今でも、松本工場で人材育成体系として継承されていて、私自身が関わった仕事として、足跡として残っていることも嬉しいですし、なにより自分一人では絶対に成し遂げられなかったものを皆で実現できたことは今でも嬉しく思い出します。

ー環境も業務内容も多岐に渡って経験されていますが、どういった想いを持って働いているのでしょうか。

私の働く志は、「未来を生きる子どもたちが夢を持って生きられる世界をつくること」です。
これは、自分自身に子どもができたことや、社会人としての経験を積んで、社内外の色々な方々と接して、自分の視野が徐々に広がっていく中で形成されていったもので、「このためになら熱量高く働いていける」と思っています。

この志を言語化することができたきっかけになったのが、パナソニックで取り組んでいる、無電化地域にソーラーランタンを届けるというCSR活動に、2017年頃に海外特派員として関わったことです。ミャンマーの無電化地域に足を運んだのですが、そこには、電気のまったく通らない環境において、明け方や夜に勉強することもままならない中でも、「お母さんやお父さんがより良いくらしができるように、お医者さんになりたい」など夢を語って一生懸命に勉強をする子供たちがいました。

その子達は夢のために勉強をしたいのに、明かりがなくて満足に勉強ができない状況でした。私たちがお届けしたソーラーランタンは、子どもたちの学習環境を大きく変えました。もちろん学習面だけでなく、無電化地域に住む人々のくらしに明かりが灯ったことは、その地域の収入、子育て、地域の交流などに良い変化を与えることができました。明かりがある生活のありがたみを感じるとともに、「メーカーであるパナソニックで働くことで、商品をお届けすることで、人々のくらしをより豊かにし、こうした子どもたちが夢を目指せる世界を作っていくことに間接的に関わっていける」という想いを持つきっかけになりました。

ーそんな次世代へ熱い想いを持つ石黒さんが就活生に伝えたいことはありますか。

就職活動を行っている“今”時点の話ではなく、社会人として働き始めるときのことになるかもしれませんが、キャリア形成の考え方として、「Must(やらなければいけないこと)を積み重ねて、Can(できること)を増やしていき、Will(やりたいこと)を育てていく」という考え方もあるよ、ということはお伝えをしたいです。

私が社会人になって初めてぶつかった壁は、「そもそも、働くって何?」「仕事を通じてどんなことを成し遂げたいのかわからない」ということでした。それまで野球一筋だったこともあり、プロ野球選手という夢がなくなると同時になにを目指したらよいのか分からなくなってしまったんです。

ただ、そんな悩みを抱えている中でも、まずは目の前のやらなければいけないMustの仕事へ必死に取り組みました。派手な仕事ではなかったですが、Must(やらなければいけないこと)にしっかり向き合っていると、結果的に、徐々にCan(できること)が増えていって、仕事の領域も広がっていき、Can(できること)が増えることで、周囲から頼られることも増えて自分自身に自信もついてきて、結果として、その先にある「Will(やりたいこと)」が育まれました。

言葉にすると簡単ですが、さっきお話しした「働く志」に至るまでも私の場合は、10年もかかってしまいました。
学生の皆さまの中には、Will(やりたいこと)はないといけないのでは!?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなに焦ることはないのではないかなと私は思っています。すでにWill(やりたいこと)がある方は、素晴らしいと思いますし、ぜひその気持ちを大事にしていただきたいと思います。でも、もしそれが無かったとしても、そう簡単に育つものではないと捉えながら、まずは目の前の仕事に一生懸命に取り組みながら、このMust-Can-Willを意識することから始めてみていただければと思います。

<パナソニック株式会社>

企業ページ
https://www.panasonic.com/jp/home.html

採用サイト
https://recruit.jpn.panasonic.com/

石黒さん執筆note(パナソニック_ソウゾウノートより)
https://youth-note.jpn.panasonic.com/n/n6f03e180eca0

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