【第1回目】学校では教えてくれない21世紀での生き方~”自分の人生”を生きよう~

【第1回目】学校では教えてくれない21世紀での生き方~”自分の人生”を生きよう~

「学校では教えてくれない21世紀での生き方」第1回目は、ZENKIGEN代表の野澤が登壇し、【”自分の人生”を生きよう】というテーマでお話ししました。

これから社会に出る学生の皆さんに少しでも参考になればという思いで、「自分の人生を生きる」とはどういうことか、野澤自身の原経験を交えながらお伝えしたいと思います。

ここからは野澤のスピーチを抜粋します。

これからの社会はどうなるのか

突然ですが、皆さんが責任世代になる時代は、どんな時代になっていると思いますか?

学生の皆さんが就職活動をする際に、こうした視点を持つことはなかなか難しいかもしれませんが、社会の変化が早くなるこれからの時代においてはとても大切な視点だと考えています。

「Singularity(シンギュラリティ)」という言葉を、皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれません。

シンギュラリティとは、Google社のAI開発責任者で人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル博士らが広めた未来予測の概念で、人工知能(AI)が人間の能力を超える時点や、それにより人間の生活に大きな変化が起こるという概念のことです。シンギュラリティでは、「2045年には、世界人口80億人分の脳よりも1台のパソコンの方が賢くなる」※1 と予測されています。
 
また、レイ・カーツワイル博士は「ムーアの法則」※2 に従ってテクノロジーの進化が社会の変化を加速していくことを予見しており、テクノロジーは指数関数的に進化していくとされています。

例えばスマートフォンや自動運転などの技術は、今でこそ当たり前の時代になりましたが、およそ10年前に普及された当時は革新的だったということを踏まえると、たったの10年でものすごいスピードで進化していることがわかります。

さらに、中国は世界の中でもAI技術が進歩しており、今後のAIにおいて圧倒的に優勢とされています。例えばスーパーアプリでは、たった1つのアプリ内で飲食デリバリーやホテル・旅行チケットの予約など複数のサービスを一括に提供しています。各サービスを利用するにあたって必要な個人情報は全てアプリ内で連携されており、日本やアメリカと比較すると個人情報の活用がしやすくなっています。AIにはビッグデータが最も重要であり、中国の人口14億人分の朝から寝るまでの行動のビックデータを活用できることは圧倒的に優位となります。また、AIの進化とともに他国では個人情報の保護について議論されてきた間にも、社会実装が非常に早い中国ではAIがどんどん進化してきました。

一方でアメリカにおいては、例えばUber EatsやAirbnbなど、サービスによって領域特化のアプリが主流となっており個人情報は各社のサービス内での活用に限られています。人口も中国の1/4程度であることから、そのデータ量の差は歴然としています。

こうして世界全体でみても、今後の社会はこれまでと比にならないほど早いスピードで変化していくことが予想されます。

「野心」から「志」へ

そんな変化する時代の中で、野澤自身はどのようにして生きてきたのか。また、これから社会に対してどのように貢献していこうと思っているのか。自身の使命を決定づける体験について、野澤は以下のように話しています。

ー私は22歳の時、当時新卒で入社が決まっていた会社への入社を半年先延ばしにして、世界放浪の旅に出ました。発展途上国と呼ばれていた国々を多数訪れ、多くのスラム街や児童労働など貧困生活の実態を目の当たりにし、衝撃を受けました。世界に出てみて初めて日本の良さを知るとはまさにその通りで、日本がいかに素晴らしい国であり、そんな日本で生きてきた自分がいかに恵まれた人間であるかを痛感しました。

そして、さらにその10年後。32歳の時に、鹿児島の知覧特攻平和会館を訪れました。そこでは、第二次世界大戦末期の特攻隊員が残した遺書を読んで、そこに綴られていた『後に続くを信ず』という一言に衝撃を受けました。明日を生きられない若者の特攻隊員が、後世を託す思いでその言葉を綴ったのかと思うと、それは自分に向けられた言葉のような気がしてならなかったのです。ー

この2つの体験を通じて、野澤は気付かされます。

この時代に日本に生まれたということを地球という横軸で見た時に、いかに自分が恵まれている人間であるかということ。
さらに日本を歴史という縦軸で見ても、今自分がこの時代に生きていることが奇跡であり、いかに恵まれているかということを。

この気付きこそが、野澤にとってリーダーとしての自覚が芽生える大きな分岐点となりました。そして、野澤は人生のテーマを『For Our Next Generations』と掲げることを決意します。(これは後に創業するZENKIGENのphilosophyにもなります)先人の方々から受け継いだこの日本と地球を、少しでも磨いて次世代に引き継いでいく。そう決意した瞬間に、「野心」から「志」へと変わったのです。

野澤はこう考えます。

ー20代のうちは野心があっても良いと思います。むしろそれが当たり前です。しかし30代、40代になるにつれて、家族、周りの人、社会、さらには未来の為に、自分に何ができるのか、ということを考えなければなりません。それが責任世代になっていくということなのではないかと思います。自分の為だけではなく、周りの人の為に自分の命を尽くすこと、それが「志」を持つということです。ー

こうして志を持った野澤は、2017年にZENKIGENを創業しました。

ここではZENKIGENの事業内容についてはあえて触れませんが、ZENKIGENは『テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する』というビジョンを掲げています。全機現というのは「人が持つ能力の全てを発揮する」という意味の禅の言葉です。

そして、ZENKIGENはこのビジョンのもと、必ずグローバルに挑戦していきます。

戦後の焼け野原から日本がここまで発展してこれたのは先人の功績があったからこそです。しかし、それを我々は食い潰しているだけの時代なのではないか。そんな危機感があります。ゆえに、グローバルに挑戦することは次世代に対する我々の責任だと思っています。

これからの時代を生きるために

最後に、今後より一層変化していく時代を生きるためのヒントを野澤なりの視点からお伝えします。

ポイントは大きく5つです。

1、責任世代になった時に社会に貢献できる人間になる

就職活動において、企業選定ポイントの第1位は「安定している会社」であり、全体の4割近くを占めるという調査結果※3 があります。

「大企業に就職すれば将来安定するのではないか」
「有名企業に在籍していれば今後転職しやすいのではないか」

そう考える方は多いかもしれません。しかし今の時代、会社に「安定」なんて無いと思っています。「人生100年時代」「一億総活躍社会」という言葉を聞いた事がある方は多いのではないでしょうか。100歳まで生きる時代へ突入したことで当然、個人の労働寿命(働く期間)も延びています。

一方で企業の寿命は短命化しているのです。これは日本に限ったことではなく、例えばアメリカ企業でも、平均寿命は1955年時点で75年だったのが、2018年時点ではわずか12年にまで短命化していると言われているほどなのです。つまり、皆さんの労働人生が1社で終えること(終身雇用)は既に終焉を迎えており、複数の企業で労働を継続的に行う時代になった、ということなのです。

では、どのような観点で会社を選んだら良いのか。もちろん人それぞれに会社選びの軸はあるかと思いますし、それで良いのだと思います。ですが、本日最もお伝えしたいことは、皆さんには是非「責任世代になった時に社会に貢献できる人間になる」ということを軸の一つとして持っておいて欲しいということです。

今日こうしてご縁をいただいた皆さんが責任世代になった時、会社にしがみついて生きる人生ではなく、仕事を通じて社会課題の解決に貢献できる人生を送って欲しいと心から願っています。あろうはずもない「安定」や「親や友人からの評価」を求めて会社を選ぶのと、「社会に貢献できる人間になる」ことを見据えて会社を選ぶのとでは、その先の人生は大きく異なってきます。

決して他人の価値観や軸ではなく、自らの意思で決断し、この社会をより良くしよう、という意識を持って働く一歩目を決めて欲しいと思います。こうした一人ひとりの想いやバトンを引き継いでいく大人が増えることで、これまで日本を良くしてきましたし、これからも社会を変える一歩となります。皆さん自身で考え、決断し、「社会に貢献できる人間になる」ことを見据えて進んでいってほしいと思います。

2、変化対応力こそこれから最も必要な能力

加速度的に社会が変化する時代において本当の意味での安定とは、どんな時代になろうとも自分を変化しつづけられる「変化対応力」を身につけることです。そのポイントは2つです。

①コンフォートゾーンからの離脱
毎日同じような環境で、同じような生活を送るコンフォートゾーンに留まる日々から、自らの意思で変化に飛び込むことです。最初は辛いですが、それを乗り越える経験を積み重ねることで変化対応力は身につきます。

②伸びている産業を選ぶ
伸びている産業は変化がとても激しいです。新しい事業や新しいプロダクトがどんどん生まれ、会社の成長スピードも早いです。そうした環境にあえて身を置き、新しい挑戦を積み重ねることで変化対応力は身につきます。

3、社会課題を解決することがビジネスに

これまでのビジネスは、「お金が儲かるのか」「利益ができるのか」という視点で捉えられてきました。しかし現代は人類史上初めて、社会課題を解決することでビジネスが成り立つ時代になっています。社会課題の解決に真摯に向き合っていける時代であることは、皆さんにとって大きなチャンスになるのではないかと思います。

4、志高く

「今だけ、自分だけ、お金だけ」ではなく、「人のため」「世のため」に自分に何ができるかを考えること。先人の方々から受け継いだこの日本をより良くし、次世代に引き継いで行くという責任感を持つこと。20代のうちは野心を持っても良いと思いますが、皆さんもいつか必ずこうした志を持って欲しいと思います。

5、自分の人生を生きよう

これまでの価値観で未来を生きることはできません。時代は変わっていきます。過去の時代を生きてきた周りの大人の価値観で何かを選択するのではなく、自分の意思で自分の人生を生きる覚悟を持ってください。決して簡単なことではありませんが、皆さんには「自分の人生を生きる」ということを大事にして欲しいと思います。

質疑応答

Q:自分の人生を生きる上で、就活における会社の選び方に迷っています。ベンチャー企業のほうがなんとなく合っている気がしているのですが、アドバイスいただけると幸いです。

A:前提として、「大企業に行くこと」がダメなのではなくて、大企業に行けば「安定」や「評価が高くなる」と思い込んで選択することが良くないと私は思っています。なぜなら、それは自分軸ではなく他人軸で人生の選択をしていることになるからです。その前提の上で、中小やベンチャー企業と比較して、大企業の方が変化していくことが難しい現実があるかなと思っています。組織や人間というのはなかなか変われないものです。そして、その規模が大きくなればなるほど何かを変えることは増して困難となります。もちろんベンチャー企業でも「変われる」とは一概には言えないので、「変化し続けることが会社のDNAとして刻まれているか」ということを重点におくと良いと思います。最後は自分の直観を信じることです。直観とはこれまで皆さんが生きてきた中で培われたものであり、山勘ではありません。「直観は過たない、過やまつのは判断である」という言葉もあります。そして何より一度決めたら、それを正解にしていく人生を歩めば良いのです。

Q:現在大学4年生です。まだ社会に出て働いたことのない自分が就職活動での会社選び、軸を決めることに難しさを感じています。しかし今回の話を聞いて、次世代のために社会に貢献するということに共感しました。今後、どのような方向性で進むべきでしょうか?

A:ありがとうございます。就職活動において何を軸にするべきか皆さん悩むと思います。ですが、安心してください!どれだけ悩み抜いて決めた軸でも、その軸は間違いなく今後の人生の中で変わっていきます。社会が変化し、自らも変化するからです。だからこそ、お伝えしている「直観」を大切に、テクノロジーとの共存を含めて「変化していこうという業界・会社であるか」ということを重要視にしていただくと良いのではないかと思います。

Q:営業のインターンをする中で、1番を目指したい、お金持ちになりたいと思うようになってきました。今日のお話を聞いて、これは野心なのかと少し不安になりました。志に変わるためにどうしたら良いでしょうか?

A:安心してください、今はそれで良いのです。「成人発達理論」にもある通り、人間は段階を経て少しずつ社会に目が向いていきます。私自身、野心が志に変わったきっかけはお伝えした通り32歳の時の体験が一番大きいですが、ビジネス経験の中で失敗も経験してきましたし、そういう経験があったからこそ志に変わったのです。いつか野心が志に変わる時が来るためには、自ら学び続け、素晴らしい人の話を聞くなど、心を磨いて準備しておくことが大事だと思います。

Q:年齢を重ねると自ずと野心が志に変わるのでしょうか?例えば、私は社会課題のなかでも教育格差などに関心がありますが、それを解決するために自分が何かしようとする気にはならず、自分が成り上がりたいという気持ちが先行します。どのようなきっかけで目標が自分から社会に向くのでしょうか?

A:教育格差に関心を持っていること自体がすでに志に近づいていると私は思います。ですがきっと、「今の自分にはまだその力がない」「社会に通用するか分からない」という不安があるのではないでしょうか。私自身も実際そうでした。しかし、恐れる必要はありません。努力をし続ければ未来は必ず開けます。意識して自ら志高い人と触れ合ったり、そういう人のもとで働いてみたり、そういう本を読むなどしておくと良いと思います。意識しておけば、必ず志に変わる時が来ると私は信じています。

Q:野澤さんは、自分の人生を生きる為に大切にしてることはありますか?

A:「他人の人生を生きない」ということですね。もちろん周りの方のアドバイスも聞きますが、「誰かが言ったから」「世の中的にこうだから」ということで何かを判断することは絶対にありません。私の場合は、「For Our Next Generations」という人生の使命が明確に定まっているので、そこに繋がるかを基準に全てを判断しています。自分の使命を明確に持って生きていくのかと、なんとなく生きていくのとでは全然違うと思いますので、是非皆さんにも使命を持って生きて欲しいと思います。

Q:これまで野澤さんのプレゼンや説明会を5回ほど聞いてきましたが、経営をしながらもプレゼンの内容も毎回変わっていてためになることばかりです。こういったイベントでは多くの企業は代表の方が話すことはあまりないと思いますが、お忙しい中でもこういった機会で自らプレゼンする想いの理由をお聞きしたいです。

A:ありがとうございます。何度もお越し頂いているとのこと、とても嬉しく思います。想いはたった一つでして、私がこうやって話すことで、たった一人でも誰かの心に響いて、その人にとって何かを変えるきっかけになるのであれば、これ以上の喜びはないと思っています。次世代のために私ができること、伝えられることとして、こういう場でお話をさせて頂くことは私のライフワークだと思っています。

最後に

野澤から皆様へのメッセージをお届けします。

「この時代に、この日本に生まれてきた皆さんは、それぞれに必ず使命を持っているはずです。自分の使命に気づき、その使命が仕事に結びつくことで社会への貢献に繋がる。それこそが人生における一番の幸せだと私は思います。一人でも多くの人に、そうした幸せな人生を送って欲しいと心から願っております。」

いかがでしたでしょうか。「自分の人生を生きる」ということは決して簡単なことではありませんが、そのために何をすればいいか、どういう考え方を持つと良いのかなど、とても学びの多い内容でした。

次回は、ダイドードリンコ株式会社 人事シニアマネージャーの石原さんにご登壇頂きます。多様化している働き方と変化の激しい時代の中で、個々人のキャリア開発と形成が重要とされています。自分らしいキャリアを築くにはどうするのか?についてお話いただきます。

※1 『シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき』エッセンス版 著:レイ・カーツワイル
※2 ムーアの法則:半導体最大手の米インテルの共同創業者の一人であるゴードン・ムーア氏が1965年米「Electronics」誌で発表した半導体技術の進歩についての経験則で、「半導体回路の集積密度は1年半~2年で2倍となる」という法則。
※3(引用)2019年4月15日マイナビニュースリリース「2020年卒大学生就職意識調査」

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